ヤマハが本格参入、電動アシスト「車いす」 自転車「PAS」の技術を応用

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ヤマハ発動機が車いすの販売に本格的に乗り出す。6月10日に電動アシスト車いす「JWスウィング」を発売する予定だ。同社は手動の車いすに取り付ける電動アシストユニットは販売していたが、完成車として販売するのは今回が初めてとなる。

JWスウィングは、電動アシスト自転車「PAS」で培った技術を応用。時速0~6キロメートルまでの間で車輪をこぐ力を補助し、弱い力や坂道などでも走行が可能になる。アシストは、全体のアシスト力 だけでなく、左右のバランスや応答性、直進性・旋回性の調整も可能で、利用者の状態や利用シーンに応じて使い分けることができる。

実際に試乗してみると、軽く車輪を押すだけでスムーズに発進、走行時も力の加減以上にスピードが出て快適だ。まさに 電動アシスト自転車の乗車感覚で、自分の体力がアップしたように感じる。デザインも競技用車いすのようで、なかなかかっこいい。医療・福祉器具然とした普通の車いすよりもおしゃれで明るい印象を受ける。

利用対象者を拡大

ヤマハが、ユニットでの販売から完成車販売に進出したのは、従来の障がい者向けだけでなく、高齢者向けの需要も取り込むためだ。ヤマハの2013年の電動アシスト車いすユニットの販売台数は約6000台。購入対象となるのは、国内の肢体不自由障がい者約180万人に限られており、販売台数は多くない。

障がい者福祉制度が適用される障がい者向けには、ユニットを販売して車いすを改造するほうが適しているが、介護保険など高齢者福祉制度が適用される高齢者向けは、機器レンタルが中心になるため完成車のほうが適しているという。

高齢者など手の力の弱い人向けには、ジョイスティック操作で操作するフル電動車いすもある。だが、持ち運びする時などに重くてかさばるうえ、高齢者にとっては、ジョイスティックの操作がことのほかハードルが高いという。この点、アシスト方式ならば軽くてコンパクトにでき、操作感も手動車いす同様で、高齢者に受け入れられやすいとヤマハは期待する。

完成車への進出によって利用対象を広げ、2017年には、海外も含め1万2000台の販売を目指す。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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